失楽園

関東大震災は、楽園だったあのころを消し去った・・・。

花月新誌 第五十号から14冊
花月社/朝野新聞社/明治11年〜明治15年
品切れ
condition:経年傷み

書庫を整理していたら、こんなものが出てきました。明治時代の文芸雑誌「 花月新誌」。森鴎外も愛読していたというこの文芸誌は、朝野新聞社長の成島柳北が、明治10年に発刊したもの。当店の所蔵は、明治11年7月発行の第五十号、あいだがとんで、明治十四年1月発行の第百五号から百八号、とんで百十一号から百十五号、百十七号から百二十号までの14冊です。これは、世田谷区の某所にあったほんとに小さな古書店で、かなり前に購入したもの。でも、つい先日その店をたずねてみると、どうして見つかりません。あの店は、幻だったのでしょうか。ということは、この「花月新誌」も・・・。18p×11.7p。→more


幕末・明治の横浜展 新しい視覚と表現
横浜美術館/2000年
品切れ
Condition;良

幕末・明治の不安定な政情を背景に、横浜に集った国内外の人々により生み出された視覚表現を取り上げた展覧会のカタログ。@開港と横浜浮世絵、A横浜絵と洋風表現、B来日した画家と写真家、C西洋技法の受容と展開、D文明開化の終わりと次代の洋画家、の5部で構成されています。28.5p×22.5p、235頁。→more


幕末・明治KANBAN展
小学館/1984年
品切れ
Condition;良

日本橋高島屋などで開催された展覧会のカタログ。エドワード・シルベスター・モースは1880年から1916年までピーボディー博物館の館長で、1877年にはじめて日本に訪れ、西洋文化の急激な移入により変革する日本を目の当たりにし、その変化と改革を体験する国民の姿を調査することに情熱を傾けるようになります。このカタログでは、彼が蒐集した明治の文明開化当時の生活・社会事情をしのばせる「看板」が約130点掲載されています。 これらの図版を眺めていると、看板とはいえ、美術工芸品と言ってもいいほどのもので驚かされてしまいます。 24.2cm×24.7cm、153頁。


オリエンタリズムの絵画と写真 1989−90
渋谷区立松涛美術館ほか/中日新聞社/1990年
品切れ
Condition;並、少汚れ

日本では初めての、オリエンタリズムに焦点を当てた展覧会のカタログ。19世紀初頭から世紀末にかけて、ヨーロッパの芸術家たちが強い興味を持ったオリエント(イスラム教文化圏)。このカタログでは、19世紀オリエンタリストの絵画と写真を中心とした構成で、さらに現代日本の写真家で、「オリエンタリズム」をテーマにした14名の作品も紹介されています。27p×22.5p、229頁。→more


ジャポニズム展
高階秀爾ほか/国立西洋美術館/1988年初版
品切れ

Condition;並、背に少キズ

19世紀の後半、さまざまな経路でヨーロッパに渡った日本の美術品が、西洋美術に与えた影響を紹介した展覧会のカタログ。この展覧会は、ほぼ同一内容の展覧会を、パリと東京の両都市で実施するという初めての試みだったようです。日本の美術・工芸がヨーロッパに大量に流出するきっかけは、1867年に開催され、日本が初めて参加したパリの万国博覧会で、日本美術が話題を呼び、万博終了後、全出品物が売却されたことがきっかけといわれています。図版カタログでは、T西洋人の見た日本美術、U異国趣味としてのジャポニズム、Vジャポニズム―折衷主義から近代美術へ、の三部で構成。30.5p×22.6p、409頁。


将軍が撮った明治 徳川慶喜公撮影写真
徳川慶朝ほか/朝日新聞社/1998年2刷
品切れ
Condition;良、著者献呈署名

15代将軍徳川慶喜が自ら撮影し、直孫により秘蔵されてきた貴重な写真を紹介した本。22.8p×23p、135頁。→more


よみがえる日本の近代 石塚三郎旧蔵 明治・大正ガラス乾板写真
ニコン・サロンブックス/ニッコールクラブ/1999年(非売品)
品切れ
Condition;並

1876年に新潟に生まれ、歯科医で大正時代には衆議院議員を務めた、石塚三郎のガラス乾板写真を紹介した本。24p×25.8p、163頁。→more


女学世界 第九巻第十一号
博文館/明治42年9月
price;¥1,500
Condition;表紙・背少ヤブレ 経年痛み

口絵に高村眞夫ほか4枚。「婦人問題」と題された文章より抜粋します−「婦人はただ夫の下に夫にたよって其の下に服従している事だけでは足りるものではない、是非とも男子と相並んで独立の職業を求め、独立の生活をしえ行かなければならぬようだし・・・其の方面から見ると、所謂婦人問題なるものは、或る意味に於いては所謂女子の自由開放の問題とも見る事が能きるのであります」。22.3cm×15.2cm、207頁。


女子職業案内
落合浪雄/大学館/明治36年
price;¥2,300
Condition;良

女子の職業を三種類に分けて紹介しています。第一類の職業として看護婦、産婆、女医、小中学校教員など。第二類として電話交換手、女子計算員、商品販売員など。第三類として裁縫師、写真技師、茶道師匠、洋楽家、画家、文学家など。となっています。「理想は如何に高崇なるも活動しつつある社会には邇からず。人生問題の根本は到底生活の範囲を脱す可からず。」著者の教訓はそのまま店主の私が心せねばならない言葉。この時代「女子の独立」が叫ばれ始めていたようです。「何故に女子は独立を急がねばならぬか、・・・生存競争の劇しいのと世襲制度が全然破壊されて社会の組織が大いに其状態をあらためつつある為である。」いまから百年近く前とはいえ、現代とあまり大差ないように思えてきます。18.7cm×12.5cm、473p。


斎藤緑雨伝
橋爪政成/九州文学社/1964年
品切れ
Condition;カバー少破れ、ヤケ

斎藤緑雨の生涯を、緑雨の姪を母にもつ橋爪政成が初めて明らかにしたことで、いまなお高い評価を得ている書。緑雨は、明治文学の鬼才とも呼ばれる小説家・評論家。「今日新聞」「東京朝日新聞」などのジャーナリストとして原稿を執筆するも、あまりに辛辣な批評から、当局より制裁を受けること度々。その後、文壇にデビューして『かくれんぼ』や『門三味線』などで小説家としての地位を確立。松本清張は、彼のことを「評壇最高の権威」と評していたとのことです。19cm×13.5cm、160頁。→more


奇書珍籍 第一号
従吾所好社/大正8年10月
品切れ
Condition;経年ヤケ、シミ

「珍書保存会」の機関誌として発行された雑誌。「編集余禄」より−「本誌編集の方針は古書中の珍奇なものを選び、なるべく挿絵のあるものを採り、書冊の大小、解題、序跋、目録あるものは全部之を挙げ、参考としてその原文を引用して文例とし、挿画は必ず之を写真若しくは凸版にして参考に供し、努めて読書子の為めに遺漏なきを期したが、何を言うにも微力な編集一人でデッチ上げた仕事ですから、欠点だらけで気が引けてならないのですが、もう出来たものは仕方ない・・・」。目次から引くと−「女流俳人の俳書」「つきみつの草子」「椀久一世物語」「嵐小六過去物語」など。23.3cm×16cm、33頁。


奇書珍籍 第二号
従吾所好社/大正8年11月
品切れ
Condition;経年ヤケ、少シミ

「編集余禄」によると第一号発行の数日前に編集者(石川巌)の妻が亡くなったらしい。「雑誌は何時出るの」と日に何回も問われたとの記述もあり、痛ましいのと編者の古書に賭ける思いとが伝わってきます。この第二号では、短い珍籍を選んでその全文を載せています。目次より−「潮来絶句」「潮来曲後集」「津村ぶし」など。22.8cm×15.5cm、43頁。


奇書珍籍 第三号 吉原号
従吾所好社/大正9年6月
品切れ
Condition;経年ヤケ、少シミ

この第三号は、吉原文化研究号として、吉原に関する各方面の奇書珍籍を網羅し、解題と写真を加えて編んだもの。「編集後記」によると、この第三号は予告を出してから半年後にやっと発行されたらしい。前二号のいずれも赤字で、その後始末に追われたらしく、それでも第三号の発行をしたのは「尚ほかに隠れたる後援者の名誉のため」とあります。「次号の発刊の予告はできない」と記されているので、この号で終刊を迎えてしまったのかもしれません。23.7cm×15.9cm、100頁。


絵の旅 日本内地の巻
石井柏亭/日本評論社/大正10年初版
price;\4,500
Condition;裸本、本文・並

石井柏亭の紀行文と絵が収められた書。石井は、同人誌『方寸』の創刊(1907)に携わり、1914年には、同士らと“二科会”を結成した、日本近代洋画界の重鎮的存在。この本に収められた穏和で写実的に表現された美しい日本の風景は、そのほとんどが失われているのではないでしょうか。三色版口絵6枚、その他、網目版挿し絵が多数挿入されています。19.2p×12.8p、220頁。


明治・大正のあかり 電笠
高橋岳志/里文社/1996年
品切れ
Condition;カバー少折れアリ、本文は良

電笠は、明治・大正の浪漫的な夜を象徴する“あかり”。それらのほとんどは、震災や戦争により消失してしまったとのこと。「まえがき」より引きます−「今まで明治大正のガラス全般については研究書や紹介書等かなりの数が出版されてはいますが、ことシェードだけのものは今回がはじめてであり、しかも今後これを凌ぐものはおそらく出来ないと思います」。著者の高橋岳志は、実際に電気をつけて、ガラスシェードが一番美しく生き生きする瞬間を丹念にカメラに納めたのだそうです。静まりかえった夜に、ゆっくりとこの本のページをめくってみたい。26.3cm×18.3cm、127頁。


江戸府内 絵本風俗往来
菊池貴一郎/青蛙房/1965年初版
品切れ
Condition;函ヤケ、中身は美、帯付き

明治38年に出版された本の再刊。帯に記された紹介文より−「明治三十八年、東洋堂刊、江戸に生まれ育って、みずから見聞したままの風俗を写しとった画と文。それは専門の学者でもなく画工でもなく、市井の一好事家の丹念な記録の集成であった。絵本という題名の通り、450頁のうち280頁が稚拙ながら飄逸な味の風俗画、しゃれた解説文と表裏一体をなしている」。まさしくそのとおりで、この本スキです。21.5cm×15.5cm。


図録 都市生活史事典
原田伴彦ほか編/柏書房/1981年初版
品切れ
Condition;良、函付

同社より'91年に普及版が出ているようですが、こちらは函付の大判。江戸時代の全国の都市のしくみとそこで生活した人々の様子を、「図録」というかたちで紹介することにより視覚的にわかりやすく描きだされていて目を通しているだけでも楽しい。と、簡単に評している私が申し訳なくなるほどたくさんの「図録」が収集されていて、編集者の努力に感動してしまいます。「町のすがた」、「町のくらし」、「町の文化」、「町人の社会」、「町の変容」の5つにより構成。26.5cm×18.7cm、254頁。


青木繁=明治浪漫主義とイギリス
石橋美術館ほか/東京新聞/1983年
品切れ
Condition;良

青木繁と19世紀後半のイギリス絵画を比較展示した展覧会のカタログ。明治36年の白馬会展に出品して白馬会賞を受賞して画壇にデビューした青木繁は、『海の幸』『わだつみのいろこの宮』などの神話を題材にした作品を次々に発表し、「明治浪漫主義」を代表する画家となります。それらが西洋世紀末芸術(ラファエル前派やアール・ヌーボー)の影響が見られるとの観点から構成されています。これらの絵画はまさしく「楽園イメージ」の東西交流です。26.8cm×22.5cm、189頁。


ジョルジュ・ビゴー展 明治日本を生きたフランス人画家
松涛美術館ほか/読売新聞社/1987年
price;¥2,000
Condition;良

1882年に日本へ来て、漫画、風刺画、風俗画、写真などを多数残したフランス人画家ジョルジュ・ビゴーの展覧会のカタログ。フランスに保存された作品を中心に、初期から晩年までの油彩、水彩、グワッシュ、銅版画、デッサン、写真など、彼の主要作品のほとんどが紹介されています。24p×23p、193頁。


大正大震災大火災
三宅雄二郎ほか/大日本雄辯會・講談社/大正12年初版
price;\1,200
Condition;背破れ、傷み

9月1日におこった関東大震災。その一ヶ月後に、被害状況の報告と市民激励のために発行された本。澁澤栄一らの題字、幸田露伴ら文学者の序文からはじまって、惨状を伝える80ページにわたる写真図版、「大震災記」、「死灰の都市をめぐる」、「美談佳話」など常套記事のほか、亡くなったはずの人が生きていて幽霊と間違われた笑い話などをあつめた「震災異聞」、「震災が生んだ新商売珍職業」、与謝野晶子の短歌「天変動く」など、当時の人びとのたくましさも感じられます。付図として「東京近県震災状況概見図」、「東京火災地域及罹災民集団地図」なども。22p×14.7p、300頁。


東京消失 関東大震災の秘録
小川益生/広済堂出版/1973年初版
品切れ中
Condition;良、帯少破れ

アングラ劇のポスターを思わせる表紙絵に引かれてジャケ買いしてしまったもの。裏表紙もこれまたポップな画が描かれています。でも、内容はいたって真面目で襟を正して読む本。震災の被害を伝える貴重な写真が多数掲載されています。震災の写真はこの写真集が出るまで、あまりにも凄惨なため出版されることがなかったとのこと。たしかに、かなり凄まじい写真集です。29cm×21cm、174頁。


天馬の道に
土井晩翠/博文館/大正9年再版
price;¥5,000
Condition;傷み、表紙少破れ

「荒城の月」で知られる土井晩翠の第5詩集。南欧の詩人ガブリイレ・ダヌンチオ(スミマセンこの詩人のことはよくわかりません)が東亜飛行を決定したと聞いた晩翠が、一夜にしてこの本の構想をまとめたそうです。ちなみに土井は、「つちい」と読むのが正しいらしいのですが、「どい」と誤って呼ばれる事が多く、晩翠もそれを訂正しなかったため両方の呼び方が残っているとのこと。16.8cm×10cm、228頁。


牧羊神
上田敏/金尾文淵堂/大正9年初版
品切れ中
Condition;函ナシ

「山のあなた」などの翻訳で知られる上田敏の没後4周年に、発行された第二詩集。この詩集は上田の生前から編まれていましたが、急逝のために今日に及んだ、と与謝野寛がこの本の末尾に寄せた文章にあります。当時を代表するフランス詩人の名編の翻訳と、彼自身の創作「牧羊神」、「汽車に乗りて」、「ちゃるめら」、「踏絵」、「啄木」が収められています。19.3cm×13cm、361頁+寄稿文。


武蔵野の記録 自然科学と藝術
織田一磨/洸林堂書房/昭和19年初版
price;\5,800
Condition;良

織田一磨が失われゆく武蔵野を画と文で丹念に記録した書。武者小路実篤の「序」より−「独歩のかいた武蔵野の大部分はもう東京市の内に入っていて、すっかり面目を変えたと思う。そのように今に織田君のかいた武蔵野の面影もなくなって昔語りになるであろう。だから武蔵野の事を書くのも今の内と思う」。一磨のいとおしむような一筆一筆がうかがえて心に染み入ります。でも、「武蔵野」ってどこにあったんだっけ?26.5cm×18.3cm、397頁。


実地探勝 趣味の旅行
吉原良三/康文社/昭和6年初版
price;¥2,800
Condition;良、函付

表題に「実地」とあえて書いてあるのも訳がある。「如何に巧みに書いても想像で出来た紀行などは、誰も読む気にはなるまいが、一々実地を踏んだ記事は、假令其の行文が拙くとも、趣味も豊かに・・・」と坪谷水哉なる人物の賛が登場しますが、 この著者は実地見聞をおこなって書いていることを強調するあたり、 実際にその地を訪れないで紀行文を書くということが当時より少し遡ると当たり前のように行なわれていた時代なのですね。「東海道五十三次自動車二日の旅」の項には「早朝のこととて車馬の往来も至って少なく、さすがに繁栄を誇る大通りもまたたくまに過ぎ、品川まで十分。川崎、鶴見、横浜へ来て三十分というスピードであるから頗る爽快である」とあります。19cm×13cm、408p。


明治大正史 世相篇(上下・二冊)
柳田國男/講談社学術文庫/1989年
price;¥900
Condition;良

明治大正の世相を知りたい人の必読書。紹介文より−「民俗学的方法によって、近代日本人のくらし方、生き方の横断面をい描き出そうとした意欲的な作品」。著者は、在来の伝記式歴史に不満なところから、故意に固有名詞を掲げることを避け、国に遍満する常人という人々が、眼を開き耳を傾ければ視聴しうるもののかぎり、そうしてただ少しく心を潜めるならば、必ず思い至るであろうところの意見だけ述べた、ということです。14.8cm×10.4cm、上222頁、下248頁、索引付き。


土方久功展 南太平洋の光と夢
世田谷美術館/1991年
品切れ
Condition;良

1929年に、ミクロネシアのパラオへ渡り、現地の人々と同じ生活をしながら、島の風景や民俗を描いた、土方久功の展覧会のカタログ。彼は、絵画制作だけでなく、島の神話伝説の採集、遺跡、部落組織などの調査などもおこない、それらは、現在でも貴重な調査資料になっています。また、パラオの各地の学校で、生徒たちに木彫を教え、その指導を受けた人々は、のちに「ストーリー・ボード」と呼ばれる木彫レリーフを制作するようになり、この地方の代表的な土産物になっているそうです。29.7p×21p、192頁。