クラフトマン20

名のある作家のものだけが美術じゃない。やっぱり生活に即したものこそ、ほんとうにいいものなのではないですか。

生誕百年記念展 小林秀雄 美を求める心
渋谷区立松涛美術館ほか/2002年
品切れ中
Condition;良

小林秀雄・生誕百年を記念した展覧会のカタログ。従来の文学者の展覧会とは一線を画し、彼が評論の対象とした「絵画」や「骨董」などの作品を展示して、その「審美眼」に焦点を当てた展覧会でした。とくに彼が愛でた「骨董」の美しい図版写真を、添えられた秀逸な文章とともに眺めていくと、いかに私たちが“かつて”「美」と身近に生活していたかがよーくわかってきて、現代の生活がとても荒んだものに思えてきます。いや、そうではなくて、この本をたよりにして、私たち自身の「美」を新たに見出していかなければと思います。22cm×15.5cm、253頁。


工藝の美
柳宗悦/日本民藝協会/昭和17年
品切れ中
Condition;良、和紙カバー付(少破れアリ)

著者後記より抜粋します。「この小著は二つの念願をこめて編纂せられた。一つは内容に関し、一つは装本に関する。(中略)このように幾つかの私の著書を、敢て私版本に附すのは、いつに正しい装本を得たいためである。書物それ自身が一つの工藝品であるから、正しい装本を試みることは、私の如き者のなすべき義務だと想える。併しかかる希望を書肆を通して具体化することは種々な困難を伴う。それ故止むなく私版本として試みるのである。」


芹沢ケイ介の世界 文藝春秋デラックス
白州正子・柳宗理ほか/文藝春秋/1978年
price;¥1,000
Condition;ヤケ、汚れ

「型絵染」で重要無形文化財(人間国宝)の認定を受けた、芹沢ケイ介(1895−1984)の仕事と収集品を紹介した本。1925年に、柳宗悦の論文に感銘を受け、それが生涯の一大転機になったそうです。“型絵染”という制約のある技法にもかかわらず、こんなにも自由奔放で美しい世界を作り出せるとは、ほんとうに驚きです。セカセカと生活している現代人(とくに私)の心に、ポッと穏やかな明かりが灯るよう。29.7p×20.6p、198頁。


きもの随筆
森田たま/文藝春秋新社/昭和30年6版
品切れ中
Condition;少ヤケ

著者による着物をイメージした装丁の美しい本。戦前・戦後にかけて森田たまの随筆は大変人気があったそうなのですが、恥ずかしながら私が手に取った彼女の本は、これが最初。ページを開いたときの古本特有の“匂い”をほのかないい“かほり”に変えてくれるのも良書の証拠。あー日本人に生まれてよかった。19.4cm×13cm、254頁。

 


そば猪口絵柄事典
小川啓司/光芸出版/1996年12刷
品切れ中
Condition;良

気に入った「そば猪口」を骨董市などで手に入れ、ずっと使っているとどんどん手に馴染んで、手放すことが出来なくなってきます。私は、コーヒーを飲むときはいつも「そば猪口」です。そんな「そば猪口」ファン必携の書がコレ。こういった雑器にはお決まりの模様パターンがあり、それらを豊富な写真を使って分類・解説していて、もちろん見ているだけでも楽しい。長い時間をかけて名もない職人が身につけてきた技術から生み出される味を知ってしまうと、「芸術作品」を気取ったものがなんとも嫌らしく見えてくるものです。26.5cm×19cm、242頁。


芸術新潮 民芸 終焉と出発
秋岡芳夫ほか/新潮社/1986年9月
品切れ中
Condition;少痛み

「民芸」の語は「民衆の生活に必要な工芸品」を要約した言葉。大正14年に柳宗悦・浜田庄司・河井寛次郎の語らいのなかで生まれたとのこと。第一部「身体ではかる民芸の知恵」では、秋岡芳夫が日本民藝館の収蔵庫へモノサシと秤を持って出かけ、「運ぶ用」と「触覚美」に絞って考察。第二部「柳宗悦が発見した民芸の美」では、宗悦の眼が民芸的なものに注がれるきっかけや、彼が愛でた民芸の美を大まかにわかりやすく紹介しています。152頁。